スタジオミュージシャンとは?サポートミュージシャン、バックミュージシャンの違いは?
テレビの音楽番組やライブでアーティストの後ろで演奏している人たちはどういう人なんだろうと思ったことはありませんか?
この人たちはスタジオミュージシャンやサポートミュージシャンと呼ばれます。
わたし自身もスタジオミュージシャンとして東京ドーム・武道館・さいたまスーパーアリーナなどで演奏した経験があります。
普段は注目されることがないスタジオミュージシャンについて今回は記事にしようと思います!
スタジオミュージシャンはいろいろな呼ばれ方がある
スタジオミュージシャンはサポートミュージシャン、ツアーミュージシャン、ライブミュージシャン、バックミュージシャンバックバンド、サイドマン、セッションミュージシャンなどと呼ばれることがあります。
本人たちは自分たちの仕事内容によって呼び方を使い分けたり、呼び名にこだわりがある人もいますが、調べたところによると日本ではそれらのミュージシャンをまとめてスタジオミュージシャンと呼ぶことが一般的なようです。
実はわたしも少しだけ違和感がある笑
今回は便宜上スタジオミュージシャンと呼ぶことにしますが、それぞれの呼び方でのちょっとしたニュアンスの違いを解説したいと思います。
スタジオミュージシャン
日本では1番メジャーな呼び方です。
スタジオミュージシャン以外の呼び方でググっても全部スタジオミュージシャンのウィキが出てきます。
実際にミュージシャンをしている人間からすると、スタジオミュージシャンはスタジオでレコーディングを中心に活動しているミュージシャンのことを指すように感じます。
むかしはスタジオレコーディングを中心に活動するミュージシャンとライブやツアーに帯同するミュージシャンは今と比べて明確に分かれていたらしいです。
しかし、今はツアーに帯同しているミュージシャンでアルバムレコーディングをすることも多く、むかしに比べて仕事内容の差がなくなってきているので、まとめてスタジオミュージシャンと呼ばれています。
とはいえ、わたし自身ツアーやライブの仕事がほとんどでレコーディングの仕事はあまりしないので、スタジオミュージシャンと言うのも呼ばれるのも違和感があり、サポートミュージシャンと自称していることが多いです。
スタジオにはいないんだけどな…って。笑
サポートミュージシャン
1番使いやすい呼び名かなって思っているのがサポートミュージシャンです。
アーティストの活動をサポートしているので、レコーディングでもライブでもサポートミュージシャンと呼びやすいなと思います。
また、テレビ番組で後ろにいる時にも「サポートしました!」と言いやすいです。
ツアーミュージシャン
ツアーに帯同している時は紛れもなくツアーミュージシャンですよね。
むかしは今より交通が発達していなかったのもあり、ツアーは行ったら行きっぱなしでしたが、今は土日に演奏して平日は戻っていることが多くなりました。
そういったこともあり、平日にレコーディングの仕事ができるようになったのもスタジオ仕事とツアー仕事で人を分ける必要がなくなった要因かもしれません。
ライブミュージシャン
ツアー以外にも単発で企画ライブをやることもあります。
そういった時にツアーミュージシャンというと違和感があるのでライブミュージシャンと言ったりします。
しかし、ライブに出るようなミュージシャンはツアーもやっていることが多いのでまとめてツアーミュージシャンと呼んでしまうことが多いと思います。
また、ライブハウスに自らブッキングしてライブ活動をしているミュージシャンのこともライブミュージシャンと呼ぶイメージがあります。
ですので、スタジオミュージシャンと同じ意味で使う時はツアーミュージシャンと言うことが多い気がします。
バックミュージシャン・バックバンド
これも使いやすい呼び名かなと思います。
なんとなくですがこの呼び方は自分ではせず、アーティストが私たちを紹介する時やお客さんが私たちのことを呼ぶ時に使う気がします。
なぜだろうと考えたのですが、ミュージシャンは「バック」ではなくて一緒に音楽を作っている意識があるからかなと思いました。
サイドマン
ポップス系のコンサートではあまり聞かない呼び方ですが、ジャズライブではフロントマンに対してサイドマンと呼びます。
なんとなくバックよりもサイドの方が一緒に音楽を作っている感じがしますね。
セッションミュージシャン
日本では聞き慣れないですが、海外ではセッションミュージシャンと呼ぶことが多いそうです。
バックでもサイドでもなく一緒に音楽を作ってる感じが1番伝わるので日本でもこの呼び方になるといいなと思いますが、セッションミュージシャンというと小さなライブハウスでセッションライブをしているイメージなので広まらない気がします。
スタジオミュージシャンのなり方
スタジオミュージシャンになる決まった方法はありません。
一つだけ言えるのはミュージシャンになるなら音大や専門学校に行かないといけないんだ!と思っている人がいたらそれは間違いです。
- 音大・専門学校卒業生
- 音大以外の大学で学バン(大学ビッグバンド)やジャズ研にいた人
- バンド出身
- 学歴に関係なく自主的に勉強していた人
現場に行くと、いろいろな人がいて一緒に音楽をしています。
どんな経歴でも音楽と楽器の勉強や練習をして必要な知識や技術があればミュージシャンになることができるのです!
しかし、ひとりでひっそり練習して世界一の技術を身につけたとしてもミュージシャンになることはできません。
人と積極的に関わり、つながりを作らないと仕事きません。
最初は赤字覚悟でライブをしたりセッションに遊びに行ったりして、自分の演奏を聞いてもらう必要があり、その道のりはとても地道です。
わたしは自分では納得できないくらい下手だと思っていたけど動画を上げていたら運よく声をかけてもらえました。
上手くなってから動画をあげようとか、上手くなってからバンドをやろうとかは叶いませんので、いますぐ人と会って演奏をしましょう!
幸運は人が連れてきてくれるので積極的に人に会い、幸運を掴むためにひとりでひっそり練習しましょう!
今はインスタやYouTubeなどの動画投稿ができるSNSで人に見つけてもらうっていう人もいるみたい!都会にいない人はそういうのもいいかもね!
スタジオミュージシャンの年収
ミュージシャンズランクというものをご存知ですか?
今ではほとんど機能してないようにも思えますが、一時間当たりのミュージシャンのギャラを定めたものです。
ライブはその10倍、アレンジもその10倍というのが基準「だったそうです」。
というのも、実はわたしもあまりよくわかっておらず、先輩ミュージシャンから聞いた話になります。
ミュージシャンズランクは最初は8,000円くらいから始まって15,000円くらいになるそうです。
とあるミュージシャンがミュージシャンランクについて書いていた記事があったのですが、現在は削除されていました。
参考としてリンクを貼りたかったのですが残念。
例えば、ミュージシャンの仕事がサラリーマンと同じだけあったとしたら、1日8時間、月20日(約週5日)だとすると月収はランクが8,000円の場合128万円になります。
年収も1500万円、もしミュージシャンズランクが15,000円だったら年収2,800万です。
夢がありますね。笑
しかし、想像できると思いますが1日8時間も演奏の仕事はできませんし、週5日もコンスタントに仕事があるわけではありません。
また、最近は全部の仕事がミュージシャンズランクで決まっているわけでもありません。
さらに、仕事がなければ収入も0です。
また、ホールやドームの仕事だけじゃなくて、ライブハウスでのギグやレッスンをしている人もいるでしょう。
つまり、収入は0〜2800万!笑
やりよう次第で収入は大きく変わります。(でも演奏だけで2,800万はできるとは思えないw)
これはすべて演奏で収入を得た場合です。
ここに権利収入が加わったり、知名度が高くなったりと付加価値があれば価格はもっと増えます。
もし、ミュージシャンとしてもっと稼ぎたかったら、作詞、作曲、プロデュース、アレンジ、アーティスト活動をすることをおすすめします。
B ‘zの松本さんは元々スタジオミュージシャンですが、1時間15,000円で仕事を受けていたとは思えません。しかし、いくらもらっているかなんて知るすべはありません。笑
スタジオミュージシャンの生活
人によってそれぞれですが、わたしが子供を産む前は週1ぐらいでレッスンをして、月一程度でライブハウスで自主企画のライブをして、たまにお店のBGM演奏をして、年に2〜3本(年間30本ぐらいのライブ数くらい)のツアーに出るというユルイ感じでした。
(他にも雑誌のインタビューやアルバム制作などもしていました。)
最初は大手楽器店でレッスン講師をしていましたが、そうするとやりたい仕事ができないことがあったので、自ら音楽教室を作りました。
音楽教室に手数料を引かれないので実働時間が少なくてもそれなりの収入があったので、自由な時間が多かったです。
脱サラしてミュージシャンになり「やりたくないことはしない!」というスタンスで活動していましたので仕事量は少なめです。
子供ができてからは、レッスンの仕事を月に2回と年に何回かのライブ演奏をしています。
自主企画のライブはしばらくやっていません。
一方、夫(夫もミュージシャン)はほとんどライブとスタジオでスケジュールが埋まっていて、たまに休みがあると楽器屋に出かけていくような音楽漬けの生活です。
家にスタジオを作ったので休みの日でも宅録の仕事をしていることもあります。
朝が早くて5時くらいに出かけることもあれば10時過ぎまで寝ていることもあります。
夕方5時ころに帰ってくることもあれば、深夜を回ってから帰ってくることもあります。
大体ライブは土日で、平日はリハーサルかレコーディングが多いです。
ライブでも演歌歌手のコンサートやミュージカル・宝塚の公演は平日にあることもあります。
1年のうち、1・2月はライブ閑散期ということもありまとまった休みもありますが、基本的に働いています。
ミュージシャンは趣味=仕事みたいなところがあるのでできることかもしれませんね。
このようにスタジオミュージシャンの生活には一定の決まったリズムはありません。
スタジオミュージシャンの仕事内容と求められる能力
- スタジオでレコーディングをする
- ライブで演奏をする
- ライブのためのリハーサルをする
これらが主な仕事です。
スタジオレコーディングの場合は事前に楽譜が渡されることもありますが、当日にならないと楽譜がない場合もあります。
アドリブ演奏を求められることもあります。
楽譜を読んで音楽を理解する力と演奏力が必要です。
もちろん演奏がきちんとできるのが第一条件ですが、ライブ演奏ではステージに上がるので見た目の良さもそれなりに必要です。
美男・美女である必要はありませんが、同じ演奏力だったら見た目が特徴的だったり、演奏姿がカッコ良かったり、パフォーマンスが華やかな方が好まれます。
リハーサルが1回以上あることが多いので、スタジオレコーディングの仕事よりは初見力は求められませんが、スタジオとは違う能力が求められます。
- 読譜能力
- 初見能力
- 音楽を理解する力
- アドリブ
- パフォーマンス
そして、人と会わないと仕事はもらえません。
また、ミュージシャンは仕事という面から見たら個人事業主です。
安心して仕事を任せられる人じゃないといけません。
- コミュニケーション
- あいさつをする
- 早めにメールの返信をする
- 電話がきたら折り返す
- 遅刻をしない
などの総合的な人間力も必要です。
天才的な音楽能力があれば周りにこういったことをサポートしてもらえるかもしれないので、その場合は問題ないです!笑
破天荒なイメージがあるミュージシャンですが、こういう部分はしっかりしている人が多いですよ!
まとめ
スタジオミュージシャンについて解説してみました。
スタジオミュージシャンを目指す人、スタジオミュージシャンを知りたい人の参考になったら嬉しいです!