フリーランスミュージシャンの請求書の書き方|消費税?源泉徴収?○○ならび?
今回はフリーランスミュージシャンのための請求書の書き方について解説します!
2021年3月31日に消費税転嫁対策特別措置法が終了し、2023年10月1日からインボイス制度がはじまるので、2021年12月現在の請求書の書き方になります。
それではどうぞー!
フリーランスミュージシャンの請求書
音楽太郎さん、○月○日××時から△△でレコーディングのお仕事なのですが、ご都合いかがでしょうか?報酬は3万円です。
テスト音楽事務所から音楽太郎くん宛に電話でこんなオファーがありました。
初めてレコーディングの仕事をもらった音楽太郎さんは喜んで仕事を引き受け、無事にレコーディング終了!
初めてのレコーディング!演奏はバッチリ!
でも、請求書ってどうやって書くんだ???
太郎くんは、はじめての請求書に戸惑ってしまいました。
消費税
最初に思いつくのはこんな感じでしょうか?
これでも大丈夫なのですが、実はオファーの時点で消費税についての確認ができていません。
商品を購入する/サービスを受ける立場だと消費税は払わなきゃいけないものですが、今回はサービスを提供する立場なので消費税を請求することができるのです!
太郎くんが受けた仕事が消費税抜き価格だったら請求書はこうなります。
消費税分の3,000円がプラスされて合計金額が変わっています!
このように合計金額が大きく変わってきますのでオファーの時点で提示された金額が税抜か税込を必ず確認しましょう。
消費税添加対策措置法
消費税分を払い渋る会社もあります。
なぜかというと、個人事業主は年収1000万円以下の場合は消費税納税を免除されているからです。
「国に払わないんだから消費税は払わなくていいよね?」
ってことです。
こうやって言われてしまうと消費税の請求を断念してしまいそうですが、消費税転嫁対策特別措置法で、消費税を理由に値下げしてはいけないと定められているので、自信を持って請求してください。
(消費税転嫁対策特別措置法について詳しく知りたい人はネットで検索してみてください。請求書発行に際しては詳しく知らなくても大丈夫です!)
…と言いたいところなのですが、こちらの法律は今年の3月で失効してしまいました。(泣)
しかし、消費税を請求するのはちゃんとルールに準じているものです。
公正取引委員会が消費税添加拒否に関する調査もしていて、問題となる取引がないかどうか調査も行われています。
源泉徴収税
というわけで無事に33,000円を請求できた太郎くんなのですが、いざ入金された額を見て疑問を持ちます。
初めてのレコーディング仕事のギャラ!楽しみ!33,000円♪
・・・・って、あれ?
29,937円?
事務所は私たちの代わりに年間の所得にかかる税金の(所得税)をあらかじめ差し引いておいてくれているのです。(消費税抜き価格に10.21%をかけた額が引かれて振り込まれています。)
この引いている金額を源泉徴収税と言います。
源泉徴収税は確定申告をすることにより、多く支払っている場合は取り戻すことができますので安心してください。
事務所によって対応はさまざまですが、わかりやすくするためにも源泉徴収額も請求書に明記しておいてもいいでしょう。
ここまですればバッチリです!
※事務所によって表記の指定がある場合もありますので、その場合は指示に従ってください。
消費税は請求する権利があるもの、源泉徴収税は自分たちが本来納めるものを代行してくれているものという認識なので上の請求額で正しいと思っているのですが、
「消費税も源泉徴収税も税は税なんだから、税抜きって書かれてたらどっちも請求していいでしょー!」という意見もたびたびSNSで見ます。
いろんな事務所がありますが、経験上「消費税は請求できる。源泉徴収税は請求額から引かれる。」という認識でいるといいと思います。
おまけ
オファーは口約束
ミュージシャンの仕事は慣習で口約束で決まることがほとんどです。
あまり良くないことだとは思うのですが、日々新しい仕事が入ってくるので一つ一つ契約書など書いていられない状態が今まで続いているんだと思います。
言った言わないとなることはお互いに良くないので文章で残すようにするクセをつけておくと良いでしょう。
電話でオファーを受けた際は折り返しメールで電話の内容をまとめて返信することで、内容を残しておくといいですよ!
今までに1番こまかかった請求書の指定エピソード
「請求者の名前の後ろにかっこ書きでカタカナでフリガナ振ってください」
・・・・いる?(笑)
〇〇ならび
最近は減ってきましたが「ギャラは3ならびで」と言われることがあります。
こう言われたら33,333円であることが多いです。
(333,333円とか3,333円のこともあるかもしれません。)
これは昔は源泉徴収税額が10%だったことに影響しています。
10%だと33,333円から源泉徴収をすると手取り額が30,000円になるんです!
なので、3ならびと言われたら、額面で30000円もらえるって認識でよかったんですね。
計算しやすくていいですよね。(笑)
しかし、平成25年から復興特別所得税が創設されたことにより、源泉徴収税が10.21%になりました。
そのことで、 ○ならびであることの意味がなくなったため最近は減ってきました。
慣習的に今でも残っているところもありますので、言葉だけでも知ってると戸惑わないですね!
そういえば。復興特別所得税は東日本大震災の影響を受けて新設されたものなのですが、いつまで続くんでしょうね?
おすすめサービス
請求書はエクセルなどでも作ることは簡単ですが、私はクラウドサービスを強くオススメします。
その中から、利用したことあるサービスを3つご紹介します!
MISOCA
今回の請求書のサンプルにはMISOCAというスマホアプリを使用しました。
PDFを作るだけだったらなんと無料です。
私は超面倒くさがりなので寝っ転がりながらでも請求書の発送までやってもらえるプランを利用していました。
料金は数百円かかりますが、とてもラクです!
仕事が多くなってくると請求書を郵送するだけでもそれなりの作業量になるのでかなりおすすめです!
また、MISOCAはスマホアプリがあるのが素晴らしいです!
パソコンやタブレットはあまり使わないという人には本当におすすめです!
MISOCAは確定申告に便利な弥生会計が作っているサービスです。
連携もできますが、請求書だけ独立したアプリなので複雑じゃないのもいいですね!
freee
クラウド会計ソフトで有名なfreeeでも請求書発行サービスがあります。
freeeで確定申告をしている/しようと思っている人におすすめです!
マネーフォワードクラウド会計(請求書)
こちらもクラウド会計ソフトで有名なマネーフォワード!
こちらでも請求書発行サービスがあります。
マネーフォワードで確定申告をしている/しようと思っている人におすすめです!
私は今年からマネーフォワードmeというアプリで資産管理をし始めたので今はこちらを利用しています。
まとめ
どのサービスも最高に使いやすいです!
悩んだ時は普段使っているサービスと連携しやすいものがいいのかなと思います。
今回紹介したサービスには全て無料期間がありますので、ぜひ実際使ってみて自分に合ったサービスを見つけてくださいね!
でも、本当の本当のズボラさんにはスマホで寝っ転がっても請求書が作れるMISOCAが一押しです。(笑)
おすすめ書籍
税金の話を聞くとお腹が痛くなったり眠たくなってきますよね。笑
YouTubeでも税金の知識を発信している税理士の大河内薫先生と漫画家のあんじゅ先生が出しているこの本はフリーランスの税金について漫画でわかりやすく書かれています。
見た目はキャッチーでとっつきやすいけど、内容は小難しい本に載っているものと同じです!
おすすめです!
お金についてもっと知りたい人には大河内先生とあんじゅ先生の本、第二弾のこちらもおすすめです!
まとめ
この記事ではあえて「御中」と「様」の使い分けや手数料部分の注意書きの説明などはしませんでした。
サービスを利用すればその辺りは自動で書いてくれますので利用してみてください!
請求書見本もわかりやすく書いたので、これを真似すればエクセルで書くこともできます。
ぜひ参考にしてみてください。
というわけで、請求書の書き方についてでした。
おしまいっ!
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